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物流環境大賞

物流団体連合会では、平成12年6月、物流部門における環境保全の推進や環境意識の高揚等を図り、物流の健全な発展に貢献された団体・企業または個人を表彰する「物流環境大賞」を創設いたしました。
これは、近年、物流分野においても環境との調和がますます重要となっているという現状から、物流部門において、優れた環境保全活動や環境啓蒙活動、あるいは先駆的な技術開発などを行なうことにより、環境負荷軽減の面から物流業の発展に貢献された方々を表彰する制度です。

第21回(令和2年度)表彰受賞者の概要

物流環境大賞
・受賞者
 ・西濃運輸株式会社
・功績事項
 ・特別積合せ貨物運送事業における路線便の「運び方改革」
・コメント
 ・西濃運輸(株)は、ドライバー不足対応・環境保全・SDGs に配慮した経営を目指し、特にドライバー負担の大きい夜間運行の長距離路線便トラック輸送について、「運び方改革」を実施した。
モーダルシフトでは、大阪府~宮城県間での貨物専用列車「カンガルーライナーSS60 号」の運行や東京都~佐賀県間特別積合せ貨物の RORO 船への転換などの複数の案件を実現した。
このほか、愛知県~静岡県間でのダブル連結トラックの運行や大型ハイブリッドトラックの導入など、多様な案件を実現することにより、会社として大幅な CO2 排出量の削減やドライバーの省力化を実現しており、環境負荷低減と物流効率化の範となる取組みを行っている。
物流環境保全活動賞
(3件)
・受賞者❶
 ・北越コーポレーション株式会社
 ・北越物流株式会社
 ・日本紙運輸倉庫株式会社
 ・エービー産業株式会社
 ・日本貨物鉄道株式会社
 ・センコー株式会社
・功績事項
 ・含水パルプ(DIP)の三重県→新潟県への輸送の空コンテナ(20ft)回送を活用し
  た鉄道モーダルシフト(私有 20ft コンテナのラウンドユース)
・コメント
 ・北越コーポレーション(株)、北越物流(株)、日本紙運輸倉庫(株)、エービー
 産業(株)、日本貨物鉄道(株)、センコー(株)は、三重県から新潟県への含水パ
 ルプの輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実施し、CO2
  排出量の削減および輸送効率化を実現した。
  輸送に関しては、新潟県から愛知県への片道の製品輸送となっていたコンテナに着
 目し、帰り荷を積載化することでコンテナラウンドユースを可能とした。
  また、鉄道輸送に切り替えるにあたり、新潟工場で一定量ストックすることでリー
 ドタイムに余裕を創出し、輸送障害時の対応も可能としている。

・受賞者❷
 ・日本梱包運輸倉庫株式会社
 ・東都積水株式会社
 ・九州積水工業株式会社
 ・オーシャントランス株式会社
・功績事項
 ・21m フルトレーラーと内航船利用による、長距離往復輸送での環境対応
  及び乗務員負荷低減
・コメント
 ・日本梱包運輸倉庫(株)、東都積水(株)、九州積水工業(株)、
  オーシャントランス(株)は、群馬県と佐賀県間の雨どい・レジコン
  (※下水道のふた)の輸送について、トラック輸送から海上輸送への
  モーダルシフトを行った。
   輸送に関しては、21m フルトレーラーをフェリーに積載するという新たな取り
  組みを実現するための乗務員習熟や、積込時間の変更による出荷指示書作成の前倒
  しに苦労をしたが、本取組みの実現により 10t 車 2 台分の荷量を定期便として安
  定的な輸送およびドライバーの省力化を可能とした。
   この取組みにより、CO2 排出量の削減および輸送効率化を実現している。

・受賞者❸
 ・日本通運株式会社
 ・TOYO TIRE株式会社
 ・日本貨物鉄道株式会社
・功績事項
 ・モーダルシフトで安定的製品供給
・コメント
 ・日本通運(株)、TOYO TIRE(株)、日本貨物鉄道(株)は、三重 県から
  全国各地へのタイヤの輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシ
  フトを行い、CO2排出量の削減および輸送効率化を実現した。輸送に関しては、
  貨物駅の特性にあわせて31ft空コンテナを活用したラウンドユースや、12ft
  コンテナの利用をするなどして輸送ルートを11まで拡大した。このほか、
  輸送枠の安定確保のため、リードタイムを延長した配達日を設定したうえで
  余裕のある土日の列車を利用した。本取組みでは貨物駅の無料留置を活用し、
  季節波動や輸送障害時の対策も可能とした。
物流環境啓蒙賞
(1件)
・受賞者
 ・クリモトロジスティクス株式会社
 ・日本通運株式会社
 ・日本パレットプール株式会社
 ・日本貨物鉄道株式会社
 ・協同運輸株式会社
・功績事項
 「フォールドデッキ」導入×「エコライナー」利用の合わせ技で 「物流改革を推進!」と更なる改善でラウンドユース(往復荷
・コメント
 クリモトロジスティクス(株)、日本通運(株)、日本パレットプール(株)、 日本貨物鉄道(株)、協同運輸(株)は、大阪府と千葉県間の水道管・バルブの輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実施し、CO2 排出量の削減および輸送効率化を実現した。
輸送に関しては、エコライナー(31ft コンテナ)への二段積みが製品の特性上できなかった貨物を、日本パレットプール(株)のフォールドデッキを導入することで、段積みを可能とし積載率を向上したほか、同一規格品を輸送する協同運輸(株)と連携することで、コンテナラウンドユースを同時に実現した。
物流環境負荷軽減
技術開発賞(3件)
・受賞者❶
 ・NEXT Logistics Japan株式会社
 ・アサヒグループホールディングス株式会社
 ・江崎グリコ株式会社
 ・千代田運輸株式会社
 ・トランコム株式会社
 ・株式会社ユーネットランス
 ・日野自動車株式会社
・功績事項
 新たな幹線輸送スキームの事業化策
・コメント
  NEXT Logistics Japan(株)、アサヒグループホールディングス(株)、
 江崎グリコ(株)、千代田運輸(株)、トランコム(株)、
 (株)ユーネットランス、日野自動車(株)は、ドライバー不足や積載率の低下
 など物流社会課題へのソ リューションづくりを進める中で、新たな幹線輸送
 スキームを事業化した。
  軽重荷を計画混載した 25m ダブル連結トラックでの東阪間幹線輸送により、
 省人化・積載率向上・CO2 削減を行う。センサーで荷台内を 3D で捉えるシス
 テムを開発したほか、愛知県の運行管理拠点で中継輸送を行うことでドライバー
 の働き方改革も実現。今後、隊列走行・積載率向上 RTI 等の開発にも取り組む。

・受賞者❷
 株式会社バンテック
・功績事項
 モバイル TMS(運行管理システム):スマートフォン APP を活用し、
  "空気" を "運ばない" トラック輸送を実現
・コメント
  (株)バンテックは、車両の運行状況・荷台の積載状況の可視化を目的に、
 スマートフォンを使用した運行管理システムを開発。走行車両位置・積載状況の
 データ把握による効率的な輸送を行うことにより、CO2 排出量の削減ならびに輸送
 効率化を実現した。
  トラック発着地での荷台の積載状況を "エッジ AI" で判定。センターでは
 トラック稼働状況、積載状況などからタイムリーに計画変更を行い、貨物をまとめ
 積載率を向上させた。また、把握したトラック待機時間のデータを基に荷主と
 共同で運行計画を最適化し、運行時間も削減することができた。


・受賞者❸
 商船三井テクノトレード株式会社
・功績事項
 PBCF(プロペラボスキャップフィンズ)の開発による環境負荷低減寄与について
・コメント
  商船三井テクノトレード(株)は、プロペラ後流に発生するハブ渦による損失
 エネルギーを回収することでプロペラ効率を改善し、燃費を向上させる装置である
  PBCF の導入により、CO2 排出量の削減を実現した。
  PBCF は導入によって 3~5%の燃費向上効果があるほか、新造船・就航船・船種
 やその大小を問わず幅広い船舶へ取付けが可能であり、延べ 3400 隻以上の船舶に
 搭載されるなど高い汎用性を有しているほか、クジラ等の水中哺乳類の繁殖に悪影
 響を及ぼしている「水中騒音」の低減効果もあり、生態系の保護へも寄与している。
物流環境特別賞
(9件)
・受賞者❶
 株式会社ニチレイロジグループ本社
・功績事項
 低温物流施設におけるフロン漏えい防止体制の構築及び、環境負荷軽減への取組み
・コメント
  (株)ニチレイロジグループ本社は、低温物流施設(冷蔵倉庫)で使用している
 フロン冷媒について、専門チームによるデータ集積やフロンを発生させない自然
 冷媒冷凍装置の導入によりフロン漏えい量を削減したほか、各センターへ省エネ 
 機器を導入し、CO2 排出量の削減を実現した。
  従来のフロン漏えい防止対策は、熟練技術者のノウハウに依存していたが、漏え
 い対策の専門チームを結成、点検結果を「設備保全管理システム」に蓄積し、漏え
 いの予兆診断・点検精度の同一化に活用している。
  また、既存フロン設備の自然冷媒冷凍機への転換や、太陽光発電の導入、冷蔵倉
 庫庫内灯の全灯 LED 化など電力使用量削減にも積極的に取り組んでいる。

・受賞者❷
 三井倉庫株式会社
・功績事項
 ~持続可能な原材料調達物流を目指して~ 門前倉庫を活用し、 原材料輸送を効率化
・コメント
  三井倉庫(株)は、キリンビバレッジ(株)の製造工場付近に専用の出荷拠点
 (=門前倉庫)を設置し、各原材料サプライヤーから届く原材料を一括して輸送す
 ることで、積載率向上とトラック台数の削減による CO2 排出量の削減ならびに輸
 送効率化を実現した。
  従来は原材料サプライヤーが個別に 4t 車等で輸送していたが、原材料の製造工
 場や倉庫は拠点が著しく少なく、長距離輸送が多くなっていた。そこで、門前倉庫
 に集約することで必要量の原材料を複数まとめて輸送できるようになり、倉庫・
 工場間を 10t 車に満載で輸送することが可能となった。

・受賞者❸
 ・富士山の銘水株式会社
 ・佐川急便株式会社
 ・全国通運株式会社
・功績事項
 富士山の銘水モーダルシフト推進事業
・コメント
 富士山の銘水(株)、佐川急便(株)、全国通運(株)は、山梨県から福岡県へのミネラルウォーターの輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを行った。
輸送に関しては、積み荷をパレット化し、荷物の隙間へトラックボードとエアバックを活用して荷物を固定することで輸送品質を維持しているほか、帰り荷はパレットの返回送を実施している。
この取組みにより、CO2 排出量の削減および輸送効率化を実現している。

・受賞者❹
 ・積水化学工業株式会社
 ・センコー株式会社
・功績事項
 住宅部材のハブ物流化とトレーラーシャーシによる 海上モーダルシフトの取組み
・コメント
 積水化学工業(株)住宅カンパニー、センコー(株)は、北海道から九州まで住宅生産会社8拠点への部材の輸送について、従来はサプライヤー各社から個別にトラック輸送していたものを、埼玉県と奈良県のハブ2拠点を設置してまとめ納入することで、効率的に輸送し CO2 排出量の削減を実現することができた。
さらに北海道向けについてはトレーラーシャーシを利用し、RORO船・フェリーを活用した海上輸送へのモーダルシフトを実施した。

・受賞者❺
 株式会社日立物流
・功績事項
 新型専用輸送コンテナ開発による再生資源廃棄物輸送の 輸送効率向上への取組み
・コメント
 ・(株)日立物流は、東京都から北海道へのシュレッダーダストの輸送について、コンテナ船による海上輸送を行っているが、輸送効率を向上させるため、独自で新型の専用コンテナを開発した。
新型のコンテナはハイキューブ化し、側面に 8 分割が可能な観音扉を設置、さらに天井面を開閉式から天蓋着脱式にすることで圧縮積載および側面からの荷卸し(排出)を可能にし、積載効率・荷卸し効率の向上を実現した。
この取組みにより、コンテナの輸送量が毎月約 3 分の 2 に抑えられ、CO2 排出量を削減することができた。

・受賞者➏
 ・コルテバ・アグリサイエンス
 ・丸全昭和運輸株式会社
 ・高崎通運株式会社
 ・日本パレットプール株式会社
 ・日本貨物鉄道株式会社
・功績事項
 パレット化による輸送の効率化及び鉄道輸送によるモーダル シフトの実施
・コメント
 コルテバ・アグリサイエンス、丸全昭和運輸(株)、高崎通運(株)、日本パレットプール(株)、日本貨物鉄道(株)は、全国 5 か所の製造拠点から各地の物流拠点までの農薬輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを行い、CO2 排出量の削減および輸送効率化を実現した。
輸送に関しては、エアバッグ・免振パッド・滑り止めシートを利用した養生に取組むことで、ばら積みからパレット化に転換し、積み降ろしの効率化ならびに養生による擦れ傷等の返品減少など、生産性および輸送品質も向上させることに成功した。

・受賞者❼
 ・クレシア物流株式会社
 ・静岡運送株式会社
 ・川崎近海汽船株式会社
・功績事項
 内航RORO船活用による海上モーダルシフト
・コメント
 クレシア物流(株)、静岡運送(株)、川崎近海汽船(株)は、静岡県から福岡県への家庭紙の輸送について、トラック輸送から海上 輸送へのモーダルシフトを実施し、CO2排出量の削減および輸送効率化を実現した。輸送に関しては、従来はトラックによる輸送を行っていたが、空車回送の無駄の改善や、長距離ドライバー不足による輸送力確保に向け、トレーラーを活用した海上モーダルシフトを実施することにより、輸送力の安定供給を可能としたほか、乗務員を近距離輸送に特化させることができたため、働き方改革にも貢献している。

・受賞者❽
 ・日本通運株式会社
 ・日幸製菓株式会社
・功績事項
 冷凍コンテナ利用でチョコレートの鉄道輸送
・コメント
 日本通運(株)、日幸製菓(株)は、岐阜県から福岡県へのチョコレートの輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実施し、CO2排出量の削減およびドライバーの省力化を実現した。従来は温度設定が可能なトラックや路線便で輸送していたが、鉄道輸送へ切り替え、冷凍コンテナを固定で利用することで、安定的な輸送を実現できた他、積み替え作業が発生せず、経路の温度管理も確認できるので、品質も満足できる内容となった。

・受賞者❾
 鴻池運輸株式会社
・功績事項
 物流センター活用・集約化による空車走行解消による
 CO2削減・効率化
・コメント
 鴻池運輸(株)は、鳥取県にある飲料メーカーの製造工場で発生する製品や包材の輸送について、新たに集約拠点を設置し、輸送網の集約・実車率向上による車両台数削減によりCO2削減と輸送効率化を実現した。従来は包材輸送事業者が個別納入をして空車で戻り、別のトラックが空車で工場へ向かい、製品を積載するスキームであり、空車での輸送が多く、かつ午前中に入荷車両が集中し、車両待機時間も増加していた。そこで集約拠点で各社の包材を一括して鴻池運輸(株)の車両で輸送し、復路には製品を積載する輸送へと転換することで、空車走行状態・待機時間の解消にも成功した。
日本物流記者会賞
・受賞者
 ヤマト運輸株式会社
・功績事項
 日本初、宅配に特化した小型商用 EV トラックの導入
・コメント
 ヤマトグループは「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」を環境ビジョンに掲げ、環境や生活、経済によりよい物流を目指している。このビジョンに基づきヤマト運輸は、小型商用 EV トラックを日本で初めて開発した。本車両は、 従来のトラックより小型サイズで、ドライバーの立場に立って設計されているため、運転に不慣れな方でも運転しやすく、多様な人材の活用に資するものとなっている。全 500 台を関東圏で稼働させ、CO2排出量の削減や、住宅街での騒音低減といった環境面での課題に取り組みながら今後も環境ビジョンの実現を目指していく。
一般社団法人 日本物流団体連合会
物流環境大賞事務局

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-3 全日通霞が関ビル5階
電話:(03)3593-0139 / FAX:(03)3593-0138

過去の受賞者概要

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